③ 1/24 学研(Gakken) Ferrari P2(PhaseⅡ) Restration

 

上の写真は、仮組したキットの車と今回修復したフェイズⅡの車両を真横から撮ったものなのだが、外見だけではホイルとタイヤが大きくなったくらいの違いしか見いだせない・・・。

まず最初にボディーを一晩剥離剤に沈めて、ボディーの油分と汚れ、古いグルーだけを出来るだけボディーに傷を付けない様に取り除いた。 この時に付いていたシールのゼッケンも早めに回収し、ボディは爪楊枝を利用して出来るだけグルーだけを取り除いてみた。 既にこの時点で、ボディーにはあちらこちらに小傷があるのだが、今回は塗装もしないので、それらの小傷も当時走っていた証拠として残してある。 後は古いグルーが落ちたら簡単にふき取って、コンパウンドで表面のアルコールによる白濁を磨いてやるだけだ・・・。

シャーシーも分解後に洗剤で洗浄し、アルミのフレームは歯ブラシと液体クレンザーで磨いて梨地状態にしている。 リアのホイルとシャフトとギアは、ジャンクの同じ学研のT70から一時的に借りて来て今回は取り付けている。

問題の一つであったずれたフロントのポストも、割らない様に苦労して外した・・・。 問題はここからで、学研はシャーシーを固定するのに2.6mmの長いネジを使っている。 60年代はネジやナットの規格がJISの物が多く、また現在ではISOの規格の物が多くなっている・・・。 当然ネジ山のピッチも違い、またネジの頭も-から+に変わっているものが多い・・・。                           このネジとナットを当時の規格で探すと云う事になれば専門店を幾つか当たらなければならないし、またあったとしても小ロットでは結構高くついてしまう・・・。    

結局、マウントに合いそうな長さのネジが見つからなかったので、Mの2・6mmのネジとナットでフロントポストのシャフトは作り変える事とした。           リアの長いネジもこのMの2.6mmのネジが使えたので、これを丁度良い長さに切って利用したが、頭は+になってしまった。(リアのマウントもネジを埋めてナットで締める様に無理をして改造しようとも考えたのだが、・・・出来るだけ当時の形を留めたいと思い、リアはそのまま手を付けずに残すこととした。)

剥離時に回収したゼッケン(#30)はコピーして切り出してボディーに貼っているが色合いや感触はやはり違ったものとなっている。 後、オリジナルでないものはガイドとブラシ、フロントとリアのタイヤなのだが、フロントは合いそうな市販のOリングを使用。 (このガイドも最初のキットの物とアルミ・シャーシーキットの物では異なる。) 今回使用した物は(調べればわかるのだが・・・)現状ではメーカー不明。             昔、オーバーホールした学研のローラT70も当時の入沢のスポンジに全て変えたのだが、今回のP2にも手持ちに有った同じ入沢のスポンジをリアに履かせている。

アメリカとオーストラリアには僅かに輸出された様だが・・・、とりあえず、外見上は60年代にこの学研のローラT70とフェラーリのP2が、人知れず巷に出回った時の雰囲気だけは感じとれる車にはなったかと思う・・・。(苦笑)  

② 1/24 学研(Gakken) Ferrari P2 (Kit)

今回、フェイズⅡのフェラーリP2をレストア?する前に、当時の学研のP2のキットがどんな車だったのかも知っておく必要がある。 実の所、私もそのまま組み立てた事が今まで無いからだ・・・。

60年代当時、私の行きつけの何件かのサーキットでも、走行しているこの学研のP2を見た事は無かった・・・。 私が今回UPしたこのキットも80年代の中頃だっただろうか? 恵比寿のMrクラフトにたまたま行った時に、1階のプラモ売り場に20台程が積み上げられていて、1/32のロータス30と一緒に1台1000円で売られていた物を入手したものである・・・。

その時は遊びも兼ねて車のプラモデルとかパーツを何気なく探しに行ったのだが、このキット達を発見して、慌ててこのP2を3台と1/32のロータス30のキットを1台購入してしまった。(爆)                               当然すぐに資金ショートとなり、他のものは何も買えなかったのだが それでも良い買い物をしたな~と、喜び勇んで帰路についた事を思い出す・・・。

前回UPした自分なりに手を入れたP2(#198)もその時に購入した1台である。  今回はやはりその時に購入したキットの中でも、ブリスターが剥がれ中でパーツが遊んでいるキットの1台を開き、未接着で簡単に形だけの仮組をしてみた・・・。

このキットの仮組で気になったのは、最初に丁度良さそうなホイルベースを決めて、それにボディーマウントをビスでシャーシーに固定してからボディーに接着しないと、綺麗なタイヤとホイルアーチの関係が作れない事だ。 実際、丁度良さそうなホイルベースを作ると、リア・ポストの接着位置がボディーの指定?位置から多少ずれることが判った。(フロント・ポストはシャーシーのホールが長いので問題はない。)

キットをそのまま作れば、こんな感じの車になるんだ~?と云う事を私自身も見たかったので今回UPしてみた次第である・・・。

当時としては珍しく、東工大の工学博士が監修にあたっているのがいかにも学研らしいし、ホイル、タイヤは小さめだが、フロントはフリーホイルだし、外側から留めるスピナー風の袋ナットを使用している所が実車の様で、当時の国産キットとしてはこちらも珍しかったのではないだろうか・・・。                              当時のほとんどのキットが内ナット留めで、それらしいパターンのホイルインサートを入れるタイプだったからだ。                                   既に発売されていた海外のCOXなどの高価な素材や高度な設計、工作技術を参考にしたのが伺われる様で面白い。(学研でもインストに誤植をやるんだな~・・・。 笑)

昭和41年1月10日 「模型と工作」モデルカーレーシング・ハンドブック 臨時増刊 第4集からの記事の抜粋

1966年3月号 No5 「モデル・スピード・ライフ」からの抜粋

① 1/24 学研 (Gakken) Ferrari P2(PhaseⅡ) Restration

この学研のP2のボディーの事は、2009年の5月2日に当ブログで既に書いたことがある・・・。 その時点では友人のT氏の車であったのだが、その後、嬉しいことに私に譲ってくれる事となり、それ以来私の手元で惰眠をむさぼって来た・・・。   私の心の中では、「また学研かよ~?!」と云う半ば呆れた声も聞こえてくるのだが、この車もそろそろ形にしておかないと、もし、ぽっくり逝く様な事にでもなれば、現状のバラバラ状態では、簡単にゴミとして捨てられてしまう心配もあるからだ。(爆)

今は家の中で所在不明にはなっているのだが、実は以前(10年程前だったか?)にもこの学研のボディーを使って自己流のP2(#198)を製作している・・・。


この車を私が譲り受けた時点で、フレームにフロントタイヤ一式とモーター等は付いていたのだが、リアのホイルとシャフトは無い状態であった(・・・と思う?!)。 ・・・もしかしたら、自前のローラに使ってしまったのか?、その辺の記憶はちょっと定かではないのだ。 ・・まあ、そんな経緯で私の元に来た車なのだが、学研の後期型シャーシー用の同型のアルミのリアホイルがすぐに見つかる訳も無く、(未だに探してはいるのだが・・・)他の学研のジャンクのボディーと一緒に段ボール箱の中で眠っていた物なのだ。                                    もう1台のオリジナル(キット)のボディーにはフロントとリアに穴が開いており、ボディーだけはプラ棒で既に修復途中にあるのだが、スイングアームはあるののに、肝心のジュラコン製のフレームが入ってないんだよな~・・・?!  参ったな~。(涙)

上の写真はその段ボールの中をさらけ出した時の写真なのだが、久しぶりに見るとボディーサイドに紙のシール(#30)のゼッケンが貼られていた。 当時は裏側のボディーマウントやポストの違いばかりに目が行き、このゼッケンシールを見逃していた・・・。 またドライバー背後のロールバーを兼ねた整流板も無かったのだが、ボディーにはこの整流板の接着跡も残っていた。                  (#82のブルーのシールは、ローラT70に付いていた物だと思われる・・・。)        

今回はオリジナル(キット)のジャンクボディー(写真のもう1台)から必要なパーツを拾い集めて、あまりいじり過ぎずに、出来るだけ当時の ”素” の状態に復元したいと思っている・・・。                                  それにしても、最初からフロントのマウントポストは”ずれて”接着されてるし、シャーシーを留める為の長いネジも見つける事が出来るのかが心配だ~。                  当時キットで発売されていた車ではないし、おまけに、紙のゼッケンシールが張られていたり、マウントの接着位置もいい加減な所を見ると、当時どこかのサーキットのRTRのレンタカーだった可能性もあるよな~・・・。

② 1/24 LINDBERG Porsche Carrera

Cobra-GT(#6012), McLaren-Ford(#6013), Hussein -DODGE(#6014), Porsche-Carrera(#6020) の4種類の1/24のスロットキットが当時発売されていた。   コブラGTだけがインライン(IL)のステアリング付の別物シャーシーであったが、ポルシェ、マクラーレン、フュッセンはアルミ・プラットホームの、それもワンピースのサイドワインダー(SW)・フレームに外付けスイングアームであった。                     ・・・と云う事は、この3台のボディーのホイルベースも同じと云う事になる。     そして、ポルシェのキットだけが番号が飛んで#6020となっている。         一番最後に発売されたキットなのか・・・?  間に何台か予定の車があったのか・・?                  シャーシー、ホイル、タイヤ等のパーツ販売はあったのか・・・?         私にとってこのLINDBERGの1/24のスロットカー達は、幾つかのミステリーを持つ車達なのだ・・・。(笑)

また スロットのボディーキットで、コブラのブルーのボディーは時々見かけるのだが、このポルシェのボディーキットだけは今まで見かけた記憶がない・・・。         これは、キットの発売時期が遅くピークから外れてしまったからか?、リア・トレッドが収まらない為に売れなかったからか?・・・。 販売不振で、いち早く元型をスタティック・キットに切り替えてしまったからなのか・・・?

過去にもタミヤのD型シャーシーやRusskitのSW・シャーシーを使ってヴィンテージもどきのスロットカーを作ろうとしたことがあるのだが、幅の狭い車には当時のSWシャーシーはトレッドが広すぎて使う事が出来ないことが多かった。 仕方なく現行のモーターを使ったり、ピットマン・モーターをILでずらして搭載したり、ギアとシャフトがアッセンブリーになったSWモーターを使用する等の方法で対処してきた・・。

当時のボディーで、コクピットがフラットな物なら何ら問題は無いのだが、ちょっと色気を出してCOXの様なフルコックピットの車をSWで作ろうとすると、やはり当時のモーター(F16やFT36等)は僅かに長すぎる(大きすぎる)のだ!!    ・・・それではFT26Dはどうか?、・・・これはちょっとパワフルで高価すぎるし、また私の手持ちにもほとんど在庫がない。                             (・・・話が脱戦するが、COXのDINOのシャーシーは車幅68mmのボディ-に上手く対応させている。 ホイル、タイヤの幅等々・・・、流石と云うべきか、本当に良く考えられた素晴らしいローリング・シャーシーだと思う。)

さてと・・・、本題なのだが、今回のLINDBERGの Porsche CarreraもFT36をもろにSWで搭載し、おまけにスーパーギアもCOX並みの厚みがあり、ピニオンもイモネジ留めのものを使っているので、リアのトレッドがボディーに収まりきれなくなってしまっている。 それだけではなく、このイモネジタイプのピニオンが長い為にタイヤにあたり、タイヤが削れてしまう有り様だ。 これはLINDBERGの他の3台のSWのスロットカーにも云えることで、明らかに設計上あるいはパーツ選択上のミスだと思われる・・・。

特にCarreraのリアのボディー幅は67、5mm程で、広いHusseinでも74mm程だ。 言い方を変えれば、このSWシャーシーにはカレラのボディーだけは、リアの幅が特に狭すぎてミスマッチだったと云う事だ。 ちなみに、スーパーギアをそっくり抜いて、1mmのスペーサーを両側に入れて、タイヤ・ホイルだけをナット留めした状態で丁度トレッドが合うという塩梅だ・・・。                      (多分、幅が無い McLaren Ford も同じ憂き目を見る事になると思うのだが。)



(これは一番ボディー幅があるHUSSEINのインストのコピーだが、この写真でも既にタイヤがボディーからはみ出している。中央はCARRERAで最後はHUSSEINの車幅)


少なくともピニオンだけはCOXと同じような薄めの打ち込みタイプのものにして販売するべきだったと思う。 Rasskitやタミヤはリアホイルにスーパーギアが付いた特殊なホイルを製作してこの問題に対処しているが、LINDBERGはそのままキットとして販売してしまった。 ・・・インスト通りに組んだのではやはり5mm程、タイヤがボディーからはみ出してしまうのだ。 キット自体もバラバラにパーツがブリスターの中に入っているのではなく、シャーシーはすでに借り組状態でパッキングされている。

私なりに対処方法を幾つか考えてはみたのだが、スーパーやピニオンを変えてシャフトの中留めナットを1個減らして、違うFT36のシャフトを詰めて搭載してもタイヤのはみ出しは僅かに解消される程度だろうと思う。 ・・・出来るものならオリジナルのパーツを使ってなんとかしたいとは思ってはいるのだが・・・。 ホイル自体はフロントもリアも同じサイズのものが使われているので、タイヤを細いものに換えるか・・?  また、リンドバークのボディーはリアのホイルアーチが他のメーカーの物より幾分大き目なので、タイヤがはみ出してもボディーに干渉することは少ない。               後はボディーの幅だしか・・・?! (やはりダメな物は、ダメだよな~・・・笑)

・・・いつも思うのだが、実車の改造や修復(レストア?)と同じで、やろうと思えばシャーシーを部分的に切り飛ばし、モーター、スーパー、ピニオン、ホイル、タイヤ等すべてに手を入れる事は実車以上に簡単だ。  モーターも小さいものに換えればスーパー側のシャーシープレートを内側に移動させる事も可能なのだ。 ・・ただ、何でもかんでも手前味噌でいじくりまわしてしまったのでは、今まで作って来た古いモーターを積んではいても、ボディーが現行のレジンだったりの中途半端なスロットカーと同じになってしまう。  実車と同じで、タイヤや欠損した外装パーツやブラシ等の消耗部品は交換しても、基本構造に手を入れるのは、果たして古い車のレストアと云う観点から考えると、いかがなものか?といつも考えさせられている。            特に古い希少なスロットカーをいじる時には悩むことが多い・・・。

・・・そんな訳で、この “Carrera” には入手以来、「出して見てはまた戻し」の繰り返しで、7~8年の無駄な時間を楽しませてもらっているのである。(苦笑)